映画紹介

問題作『新聞記者』ネタバレなしの感想。見る価値あり

Twitterのフォロワーさんからおしえてもらった作品『新聞記者』を鑑賞しました。

この作品をおすすめする人が多いのは何故か?書いていこうと思います。

  • 風刺がきいた問題作
  • 作品はフィクションとはいえ日本の闇に踏み込んだ物語
  • 新聞記者と官僚の話ですが日本国民は誰もが考えさせられる作品

私は普段新聞を読まなければ政治にも疎い人間です。そんな人間にも本作は決して難しい話ではありません。

新聞記者

「新聞記者」基本情報



2019年6月28日公開の日本映画

監督 藤井道人

出演 シム・ウンギョン/松坂桃李/田中哲司/本田翼

上映時間 113分


 

「新聞記者」あらすじ

 
 都新聞記者・吉岡シム・ウンギのもとに大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ちある思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は真相を究明すべく調査をはじめる
 一方内閣情報調査室官僚・杉原松坂桃李は葛藤していた 国民に尽くすという信念とは裏腹に与えられた任務は現政権に不都合なニスのコントロ愛する妻の出産が迫たある日彼は久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだがその数日後神崎はビルの屋上から身を投げてしまう
 真実に迫ろうともがく若き新聞記者の存在に気付き選択を迫られるエリト官僚二人の人生が交差するとき衝撃の事実が明らかになる!
 現在進行形のさまざまな問題をダイレクトに射抜くこれまでの日本映画にない新たな社会派エンタテインメント!あなたはこの映画を信じられるか─?
 

「新聞記者」のみどころ① 日本の闇に踏み込んだストーリー

本作は上記のあらすじに書いた通り官僚・杉原のかつての上司である神崎が突然自殺したことにより急展開していきます。しかし、普通のサスペンス映画ならば黒幕を暴き出し逮捕に至る流れを描くのでしょうが本作はちがいます。

新聞記者・吉岡は匿名で送られてきた極秘情報について調査していると神崎にたどり着きます。しかし話を聞く前に神崎はビルの屋上から身を投げてしまいます。

神崎はなぜ自殺しなければならなかったのか

そこには日本の闇がはっきりと存在してました。

闇とは何か?それが本作のみどころの一つ目です。

「新聞記者」のみどころ➁ 内閣情報調査室とは

杉原は内閣情報調査室(通称内調)に所属しています。

これは実際にある機関ですが映画内では薄暗い部屋にパソコンが数十台。そこでの彼の仕事は言ってしまえば内閣にとって有利になるような情報操作です。

ここでの仕事は見ていて恐怖を感じました。

大卒のいい大人たちがスーツ姿でTwitterを使って情報を拡散しています。時にはデマ情報まで流します。

ここを仕切る多田は杉原に言う

嘘か本当かを決めるのはお前じゃない。国民だ。

恐ろしい言葉でした。

私たちが普段ニュースとして聞いてるものは真実なのでしょうか?

あと何度か”国のため””国民のため”というセリフが出てきますが何か皆何かに操られているかのようでゾッとしました。

「新聞記者」のみどころ③ この国で家族を守るにはどうすれば

自殺した神崎には家族がいました。杉原にも身ごもった奥さんがいます。吉岡は独身の女性ですが父親は同じ記者で誤報の記事を載せたと責められ自殺した過去があります。

物語の主要人物は強い信念のもと仕事に身を捧げています。自分が正しいと思うことを止められる新聞記者も、やりたくない情報コントロールをする官僚にも上から巨大な圧力が掛かっています。

そしてこれが世の中の縮図です。

杉原に自分を置き換えて考えてみましょう。若手エリート官僚。家には愛する妻と彼女のお腹には赤ちゃんがいます。国の極秘情報を手に入れたあなたに上司が優しく言います。「悪いようにはしないから持ってる情報全部よこせ」と。あなたの情報を待ちわびる新聞記者とどちらに情報を渡しますか?あなたなら正しいことができますか?

「新聞記者」のみどころ③ 3人の役者

3人の演技が素晴らしかったです。

①シム・ウンギョン/吉岡エリカ

韓国人の母と日本人の父との間に生まれたハーフでアメリカで育ち日本の新聞記者になった

私は彼女のことを知りませんでしたが、韓国ではトップ女優の一人のようです。

はじめ彼女に皆「吉岡」って声を掛けるとこに違和感がありました。顔も日本人ぽくないし日本語は綺麗ですがネイティブではないからです。しかし上記の設定を知ってからはすんなり受け入れることが出来ました。役柄もあってると思います。彼女の泣く演技に引き込まれました。

➁松坂桃李/杉原拓海

内調配属のエリート官僚

信念と職務の間で揺れ動く若者を熱演しました。彼も途中泣くシーンがあり、最後には激しく葛藤します。正しいことをしていばらの道を進むか。職務を全うして家族を守るか。共感できて見ていてつらい役でした。

③田中哲司/多田智也

杉原の上司

言ってしまえば本作のヒールキャラですが。ただの悪人とはわけが違います。私利私欲のために働いてるようには見えないんですよね。「おまえ子供生まれるんだってなあ。」って急に言ってきたり、出産祝いを変なタイミングで渡したり自分の思い通りに動かすため、部下をひとつの駒としてしか思ってないようなこんな上司絶対に嫌ですが、根っからの悪じゃないと言いますか。この人はこの人で守るものがあって国の為にやってるようにもみえる。要は感覚が普通じゃないのかなと。そういった難しい役を演じていた気がします。

「新聞記者」感想・まとめ

この作品はどこまで描くかっていうのがひとつのポイントだと思います。

私はいい終わり方だと思います。

エンドロールが流れはじめエンディング曲が流れるまで数秒間無音になります。その間に様々なことを考えると思います。

流石にあの流れから松坂桃李かっこいいと思える人は少数だと思いますが。

大半の人が世の中に流れてる情報について、家族のこと、これからの人生について、いわゆる現実のことを考えると思います。国を守ることと家族を守ることがここまでかけ離れているのは観ていて心苦しいものがありました。幸せになるために結婚したのに家族を人質に取られて身動きが取れない感覚。

物語はフィクションで実名は伏せてるもののこれはあの事件のことかなというものがいくつかありました。事実であれば国がもみ消したのかと憶測が飛び交うようなもので問題作と言ってもいいのではないでしょうか。

観終わったあとに何かと考えさせる映画です。

非常にわかりやすくてよくできてると思いました。ジャンルとしては苦手ですが、最後まであっというまでした。私のように無知でも大丈夫です。

観る価値は十分にある映画だと思います。

 

Twitterのフォローまたはブックマークの登録よろしくお願いします。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です