映画紹介

雨や水の表現が美しい大人のアニメ「言の葉の庭」の魅力とは

この夏、新海誠監督の最新作「天気の子」が公開されますが、新海監督で”天気”と言えば雨が美しい「言の葉の庭」です。「秒速5センチメートル」同様に短編映画なのでちょっと空いた時間に観やすいです。知らない方にはぜひ観ていただきたい作品です。ざっと魅力をまとめてみました。(サムネイル画像は公式サイトから引用)

  • 大ヒット映画「君の名は。」でお馴染み新海監督の作品
  • 映像美を楽しむ短編アニメ
  • 男子高校生と大人の女性の恋物語

#17 言の葉の庭 The Garden of Words

基本情報



2013年公開 日本の短編アニメーション映画

監督 新海誠

出演 入野自由、花澤香菜 他

上映時間 46分


あらすじ


靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。

引用元:言の葉の庭 公式サイトより

言の葉の庭の魅力①水の美しさ

新海誠監督の作品は背景が細かく美しい特徴があり新海ワールドとも呼ばれています。本作は冒頭シーン”水面”が映ります。この水面が水たまりなのか、池か川かあるいは海なのかわかりませんがそんなことよりまずこれは実写なのかな?というところから始まります。雨、涙、蛇口から出る水、車窓の水滴、アイロンの蒸気までも、それほどとにかく水が本当に美しいです。雨も種類が豊富で、しとしと降る雨、明るい中に降る天気雨、強く降る豪雨。これらを雨粒の大きさだけで分けるのではなく、明るさ、草木の揺れ方などで表現していてつい映像に見とれてしまいます。

言の葉の庭の魅力②ユキノ

本作最大の魅力はヒロインのユキノこれに尽きると思います。身もふたもない話ですが新海監督の作品は基本的にヒロインが素敵です。「君の名は。」の”三葉”や「秒速5センチメートル」の”明里”と”澄田”。彼女たちと違ってユキノは大人の女性です。美人で新海作品の中でも特に魅力的なヒロインの一人です。

ユキノ プロフィール


画像は公式サイトより


雪野 百香里(ユキノ ユカリ)

27歳

主人公タカオが雨の日庭園で出会った謎の女性。朝からチョコレート片手にビールを飲んでいる。タカオに万葉集の短歌を詠み去っていった。この日から雨の午前中だけの交流がはじまる。


声優 花澤香菜

ユキノが美女であるのは間違いないのですが、魅力を引き出してるもう一つの力が声を演じてる声優の花澤香菜さんです。

たいへん売れっ子声優さんのようで私は普段アニメを見る機会が少ないので少し調べてみました。声優の中でも若手ではトップレベルの人気があり、私の知ってる作品では物語シリーズの千石撫子役を演じています。映画以外のアニメは1年に1本見るかどうかの私なので少しうれしいです。

声の印象としては”透き通った声とはこういうことを言うんだろうな”っていうような美しい声です。彼女の声はイヤホンかヘッドフォンをして聴きたくなるような優しい声質です。

万葉集

はじめて二人が会ったときユキノはタカオへ次の言葉を言い残して立ち去ります。

鳴る神の、少し響(とよ)みて、さし曇り、雨も降らぬか、君を留(とど)めむ

タカオはよくわからずキョトンとしていますがこれは万葉集の短歌です。

万葉集とは1200年から1300年ほど前に作られた日本に現存する言の葉(コトノハ)を集めた最古の和歌集です。 この和歌の意味は
雷が少し鳴り響いて雨が降らないかな。そうすれば、あなたをここに留めておくことができるのに。

これには返し歌があり物語の後半でタカオがユキノに伝えます。

鳴る神の、少し響(とよ)みて、降らずとも、我(わ)は留まらむ、妹(いも)し留(とど)めば

雷が鳴り響いて雨が降らなくとも、君が望むのならなら私はここに留まろう。

素敵な言葉ですよね。本作はこの短歌をもとに作られてるような物語でもあります。

逢瀬(おうせ)

公式にて二人の交流を”逢瀬”という言葉で表現してます。

逢瀬の意味は会う機会特に男女が会うことを言いますが。普段あまり使うことはないけど知ってる言葉でもあったりしますよね。

男女が人目を避けて会う機会や時間を何度も持つことを”逢瀬を重ねる”といいますが、 こっそりカフェでお茶を飲んで帰るのも逢瀬。肉体関係を持つのも逢瀬。 幅広い解釈をすることができます。

  • 「恋人とのデートを楽しむ。」
  • 「恋人との逢瀬を楽しむ。」

比べてみても逢瀬という言葉は聞き手の想像次第、解釈次第でロマンチックな印象にもなれば、いやらしくも聞こえかねません。

さて、ユキノとタカオは雨の日本庭園にて逢瀬を重ねるわけですがまさに逢瀬という言葉がぴったりでした。

靴職人を目指してるタカオはユキノの靴を作りたいと思い、ユキノもそれに応じます。

庭園のベンチでユキノは靴を脱ぎ、タカオはユキノの足に触れ採寸をしはじめます。

私はこの記事の冒頭にある予告を観てから本編を観たので”逢瀬”という言葉が頭に残ってました。そのせいかこの二人のやりとりが官能的に見えました。あなたの靴を作りたいというタカオの強い思いに対して心を開くユキノ。もはや前戯のようなシーン。

私の頭がいやらしいだけなのか他の人の感想も聞きたいものです。

舞台

言の葉の庭の舞台となったのは”都会のオアシス”こと新宿御苑です。実際に二人の交流場所となったベンチもあります。入園料は500円。意外といい値段ですよね☆どうやら最近まで300円でしたが値上げしたようです。

まとめ・感想

ユキノは綺麗ですがやってることは結構病んでます。朝から公園でチョコレートとビール。たまたま隣に座った高校生に万葉集とはいえ”愛の言葉”を伝えて去っていく。

私だったらそんな女性のことしばらく忘れられないですね。授業中も心ここにあらずですよ。

実際にユキノがどういう女性かは物語が進むにつれて徐々に明かされていくわけですが、短い時間でよくまとめられてると思います。クライマックスのシーンは実に観ていて気持ちがいいです。映像もストーリーも美しく繊細な作品です。短編アニメ映画では本作は「秒速5センチメートル」と共に最高峰のものなのではないでしょうか。本編を観終わったら「君の名は。」を観てください。ユキノが教師として出演しています。

最後に、水も美しいけどタカオが作る料理も旨そうで観ていてお腹すきました。

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