夢を追いかける人。いつもがんばって働く人へ気分転換に見てほしい作品です。
おもしろいのはもちろんだけどそれだけではなく僕の人生に合ってる。きっと誰にでもはまるわけではないけど一生懸命生きてる人に突き刺さる映画だと思う。学べること、共感できることがたくさんある作品である。(サムネイル画像はAmazonから引用してます)
- 映画【シェフ 三ツ星フードトラック始めました】のネタバレを含みます。
- この記事は現役パティシエが書いています。
シェフ 三ツ星フードトラック始めました
基本情報
原題 CHEF
監督 ジョン・ファヴロー
出演 ジョン・ファヴロー
上映時間 115分
2014年公開
あらすじ
カール・キャスパーは、こよなく料理を愛し、また料理からも愛された超一流の天才シェフ。若かりし頃から天才として名を馳せた彼は、現在ロサンゼルスにある有名なレストランで雇われシェフをしていた。彼がここで働く事になったのは、オーナーが厨房や料理に関しては一切口を出さないと就職時に契約を結んだ為であった。彼は彼にしか作れない料理が作りたかったのだ。
順風満帆に思えるカールでであったが、実はプライペートはあまり良好とは言えない状況にあった。数年前に妻と離婚したカールは、10歳になる最愛の息子、パーシーと離れて暮らしていたのである。パーシーは父親の影響か料理に興味を持ち、カールの仕事を見学したいとカールに伝えていた。
また、まだ10歳のパーシーは常に忙しく自分にあまり構ってくれない父親に少しの寂しさも感じていた。カールは仕事に打ち込むあまり、パーシーのそんな気持ちにあまり気づけずにいたのである。そんなすれ違う2人を、元妻、イネズは心配そうに見守っていた。
引用元:MIHOシネマ 映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』のあらすじ【起】
本作の魅力
レストランの雇われシェフとしてオーナーとの対峙、葛藤を描く前半と移動販売を息子と始める後半パートとの二部構成。前半は飲食店ならあるあるの展開「オーナーと雇われシェフの対立とそれに巻き込まれる周りの連中」をリアルに描いてます。
美味しそうな料理がたくさん出てきて軽快な音楽に乗せて料理人の奮闘を描く。
人々の会話がリアルで一部は僕にとっての日常だったりします。
どの仕事も同じでしょうが料理人は情熱がなければ続けられません。世の中は十人十色で自分の好きな味を必ずしもあなたが好きと言ってくれるとは限りません。だから自分の味覚を信じることができなければ苦痛になるだけです。もちろん自分の自信作を美味しいと言ってくれたら心の底から嬉しいと思える。言わば子供心を持ったまま大人になったようなものです。本作の主人公カールも大人げない一面がありそれがきっかけで職を失ってしまいます。この映画はそんな料理人の再起と彼のひとり息子との心の距離を縮めていく物語です。
オーナーとぶつかる雇われシェフ
カールは一流レストランの雇われシェフ。かつては天才と呼ばれるほどの腕があり今でも料理への情熱は尽きない。同僚からの信頼も厚く助手のマーティンとトニーから慕われている。ソムリエのモリーは元恋人で今は良き友人。ある日、大物評論家がお店に来店することになったところから物語は始まる。気合の入ったカールは新メニューを出すつもりだったがそこへオーナーが登場。鶴の一声で通常メニューを出すことに。その結果、評論家が出した評価は最悪だった。カールは自分の意見を貫けなかったことにも悔いが残る。翌日、評論家の記事はブログで、更にツイッターで拡散されていた。腹が立ったカールは「今夜新作を試しに来い、クソ野郎」とツイッターで評論家を挑発。たちまちネットは盛り上がり予約が殺到する。カールは今日こそは新作をと思っていた矢先にまたオーナーが登場。カールの意見は完全に却下され、とうとう店を出ていくことになってしまう。
オープニングから美味しそうな料理がたくさん出てきます。この映画は料理の完成形より過程が美味しそうに映ります。この映画を観て料理人になりたいと思う人もいるでしょう。
凄く学びのある映画です。自分の居場所を無くした主人公が新天地で力を発揮する。しかも前よりも幸せそう。まわりの人も楽しそう。行き詰ってるときに無理をして今の職場で働き続けないといけないのだろうか。辞めたら本当に不幸になるのか。自分が勝手に思い込んでるだけなのではないかなと選択肢を広げてくれる映画です。
カールの息子【パーシー】と2つのSNS
キーアイテムとなるSNSが登場。ひとつは結果的にカールが喧嘩を売ってしまい炎上に繋がったTwitter。もう一つはカールの気持ちを大きく変えた親子の絆を繋げた1秒動画1second everyday。どちらのSNSもパーシーは駆使して人の気持ちを動かします。今でこそ生活にもビジネスにも必要不可欠なSNSですが映画が公開されたのは8年前。お店の宣伝としてパーシーがTwitterをお手本のように使っています。
カールの料理に対する情熱
職場でも熱い人は煙たがられますがそういう人は敵が多い反面熱狂的なファンや同志が集まったりします。カールも一流レストランからフードトラックに戦場を移しましたが、レベルを下げたとは思っていません。何よりも生き生きしていて楽しそうです。でもこれは彼が料理に対して、家族に対して真剣に向き合った結果が招いたものだと思います。
マーティンの存在感
本作の名脇役マーティン。派手好きだけどいい奴。ほどよい笑いを提供してくれる熱い漢。
パーシーの成長
詳しくは書きませんが彼が「ウィシェフ」と言うシーンがあるのですが僕が一番好きなシーンです。観ていて思わずにやけてしまいます。
好きなシーンは書き始めたらキリがないほどよくできた作品です。僕の記事を読んで気になってもらえたら是非鑑賞してみてください。